解説
立木補償とは、道路拡幅や河川改修、再開発などの公共事業により土地を収用される際、その土地に生育している樹木(立木)の価値を金銭で補償する制度です。庭木や用材林、果樹、生垣などが対象となり、樹種、樹齢、樹高、幹周り、本数、用途などを基に算定されます。算定にあたっては、移植可能なものは「移植補償」、移植が困難なものは「伐採補償」として区別され、それぞれの工事費・損失額が補償額に含まれます。空き家を含む土地が公共事業の対象となった場合、建物本体や工作物だけでなく、庭の樹木についても適正に補償されることになります。
関連法令・制度
立木補償は公共用地の取得に伴う損失補償基準(公共補償基準)および各事業者の補償基準要綱に基づいて算定されます。土地収用法第88条による損失補償の一環として、土地所有者の権利を保護する仕組みとなっています。算定根拠は国土交通省や農林水産省が示す立木評価の基準が参考とされます。
空き家所有者にとっての意味
相続した空き家の敷地に古くからの庭木や果樹がある場合、公共事業の対象となれば一定の補償を受けられる可能性があります。樹齢の長い記念樹、丁寧に手入れされてきた庭木、果実生産が可能な果樹などは評価額が高くなる傾向にあります。補償交渉では、樹木の生育状況や管理履歴を記録した写真・資料があると有利です。事業者から提示された補償額に納得できない場合は、収用委員会への裁決申請という選択肢もあります。地域や事業内容により算定基準は異なるため、専門家への相談が役立ちます。
よくある誤解・注意点
「庭の木はおまけ」と捉えられがちですが、価値ある樹木は適正に補償されるべき対象です。事業者から提示された当初額が必ずしも最終額ではなく、交渉や根拠資料の提示により増額となるケースもあります。また、自主的に伐採してしまうと補償対象外となるため、補償交渉が完了するまでは現状を保つことが重要です。
