解説
遺留分とは、配偶者や子、直系尊属といった一定の相続人に対し、法律が最低限保障している遺産の取得割合のことをいいます。遺言があっても、その内容が遺留分を侵害している場合には、遺留分権利者は侵害された分に相当する金銭の支払いを請求できます。たとえば「全財産を長男に相続させる」という遺言があっても、配偶者や他の子は遺留分の範囲で取り分を主張できます。空き家を含む不動産の承継を考えるうえで、遺言の内容と遺留分のバランスを意識することが大切です。
関連法令・制度
遺留分は民法第1042条以下に規定されています。2019年7月施行の改正により、それまでの「遺留分減殺請求」から金銭請求としての「遺留分侵害額請求」に制度が見直され、不動産が当然に共有になることを避けやすい仕組みとなりました。
空き家所有者にとっての意味
実家など特定の不動産を一人の相続人に集中させたい場合でも、他の相続人の遺留分に注意して遺言を組み立てることが重要です。たとえば不動産を取得する相続人が、遺留分相当額を他の相続人に金銭で支払う方法を想定しておくことで、後の調整がしやすくなります。生命保険金や代償金の活用を含め、遺留分への配慮を組み込んだ生前対策が有効です。専門家と一緒に、不動産の評価額や遺留分の計算をシミュレーションしておくと、家族にとって納得感のある形を作りやすくなります。
よくある誤解・注意点
兄弟姉妹には遺留分がない点や、遺留分侵害額請求には1年の短期消滅時効がある点は、よく見落とされるポイントです。請求するかどうかは権利者の判断にゆだねられており、必ず行使しなければならないものではありません。
