解説

自筆証書遺言とは、遺言者本人が遺言書の全文(一定の財産目録を除く)、日付および氏名を自書し、押印して作成する遺言方式をいいます。費用がかからず手軽に作成できる点が特徴で、自宅で書いて保管することも可能ですが、形式に不備があると無効になりやすいという面も持っています。2019年の民法改正により、財産目録については本人の自書ではなくパソコンによる作成や通帳のコピー添付が認められるようになり、作成の負担が緩和されました。空き家を含む不動産の希望を残しておく方法として、一定のニーズがあります。

関連法令・制度

自筆証書遺言は民法第968条に規定されています。2020年7月からは法務局の「自筆証書遺言書保管制度」が始まり、法務局に預けることで紛失・改ざんのおそれを減らし、家庭裁判所による検認手続きも不要となります。

空き家所有者にとっての意味

実家など特定の不動産を誰に残したいかを書面で明確にしたい場合、自筆証書遺言は比較的取り組みやすい選択肢です。費用を抑えて作成できる一方、不動産の表記が不正確だったり、日付や押印に不備があったりすると、相続登記の場面で問題となる可能性があります。空き家の所在地や地番、家屋番号などは登記簿の記載どおりに書くことが大切です。確実性を高めたい場合は、法務局の保管制度を利用するか、後述の公正証書遺言を選ぶ方法もあります。

よくある誤解・注意点

「全部パソコンで打ってもよい」と思われがちですが、本文は本人の自書が原則です。財産目録のみワープロ作成が認められています。また、法務局の保管制度を利用しない場合、亡くなった後に家庭裁判所での検認手続きが必要となる点にも注意が必要です。

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