解説

公簿売買は、不動産登記簿に記載されている面積(公簿面積)を基準に売買代金を算出し、引渡し後に実測面積との差が判明しても代金の精算を行わない取引形態です。古い登記簿の面積は明治時代の地租改正時の測量に基づくものも多く、実測値と差があることが珍しくありません。それを承知の上で代金を確定させる方式が公簿売買です。地方の山林・農地・郊外の宅地などで採用されることが多く、確定測量を行わずに済むため売主のコスト・時間の負担を抑えられる利点があります。一方、買主にとっては想定より面積が少ない可能性があるリスクを引き受けることになります。

関連法令・制度

公簿売買は民法第555条の売買契約の一形態として、契約自由の原則に基づき当事者間で取り決めます。契約書には「公簿売買とし実測との差異による代金精算は行わない」旨を明記するのが通例です。

空き家所有者にとっての意味

地方の相続空き家で、敷地が広大であったり山林を含んだりする場合、確定測量に多額の費用と時間がかかるため、公簿売買が現実的な選択肢となることがあります。買主が解体・新築前提でなく、現状の敷地形状を受け入れる用途であれば、公簿売買で迅速に取引を進められます。ただし、買主側に説明不足があると後日「実測したら面積が少ない」とトラブルになる可能性があるため、契約書での明示と重要事項説明での丁寧な説明が不可欠です。

よくある誤解・注意点

公簿売買は「測量しない売買」ではなく、「測量結果による精算をしない売買」です。境界の明示や物件状況の説明は通常通り必要であり、売主の説明義務は変わらない点に留意してください。

関連用語