解説
両手取引は、1社の宅建業者が売主・買主の双方の代理または媒介を行い、両者からそれぞれ仲介手数料を受け取る取引形態です。両手仲介とも呼ばれます。業者にとっては手数料収入が2倍になるため経済的メリットが大きい一方、売主と買主の利害が対立する場面では業者の中立性が問われる構造的な課題が指摘されてきました。日本では合法ですが、米国の多くの州では原則禁止または厳しく制限されており、国際比較で議論の対象となります。健全な両手取引もあれば、囲い込みと結びついた問題のある両手取引もあり、行為の中身を見ることが重要です。
関連法令・制度
宅地建物取引業法では両手取引そのものを禁止していませんが、第46条で手数料の上限が「依頼者の一方から受領できる額」として定められており、売主・買主それぞれから上限額を受け取ることになります。国交省は2025年1月から囲い込みを業務処分対象に位置づけました。
空き家所有者にとっての意味
両手取引そのものは違法ではなく、業者が独自に発掘した顧客同士の取引なら自然な形でもあります。問題は、囲い込みによって意図的に両手取引にしようとする場合です。売主側の対策としては、一般媒介で複数業者に依頼して両手の動機を弱める、専任系でも進捗報告を細かく求めて他社からの問合せ状況を把握する、不審な動きがあれば質問するなどが有効です。両手取引そのものを忌避するのではなく、健全な販売活動が行われているかを見極める視点が重要となります。
よくある誤解・注意点
両手取引には「自社の顧客同士のマッチング」という効率的な側面もあります。問題は中立性が損なわれることなので、業者の対応や情報開示の姿勢で判断することが大切です。
