解説
不在者財産管理人は、従来の住所または居所を去って容易に戻る見込みがない者(不在者)の財産について、利害関係人または検察官の請求により家庭裁判所が選任する管理人です。本人の財産を保存し、家庭裁判所の許可を得て売却などの処分を行うこともできます。空き家の共有者の一人が長期間連絡が取れない、相続人の中に所在不明者がいる、といった場面で活用され、空き家の売却や登記の整理を進めるために用いられます。実務では司法書士や弁護士が選任されることが多く、不在者の財産を慎重に管理しながら、必要な処分を進めていきます。預貯金、不動産、債権など、不在者名義のあらゆる財産が対象となり得ます。
関連法令・制度
根拠は民法第25条から第29条です。家事事件手続法に基づき家庭裁判所が選任し、保存行為を超える処分には裁判所の許可が必要です(民法第28条)。なお、所在不明共有者については、2023年4月施行の改正民法第262条の2の制度も活用できます。共有関係の解消を目的とするときは、新制度の方が手続が簡略な場合があります。
空き家所有者にとっての意味
共有者の所在不明によって空き家の処分が停滞している場合、本制度を活用することで売却や境界確定などを進められる可能性があります。申立てには予納金が必要となることが多く、数十万円程度の費用がかかる場合があります。実務上は、戸籍の附票や住民票を可能な範囲で調査し、それでも所在が判明しない場合に申立てを検討します。司法書士・弁護士など専門家への相談が現実的な出発点です。改正民法による所在等不明共有者の不動産管理制度との使い分けについても、専門家の助言を受けると判断しやすくなります。
よくある誤解・注意点
不在者財産管理人は所有権を取得するわけではなく、本人に代わって財産を管理する立場です。また、相続人不存在の場合は相続財産清算人、所在不明共有者については改正民法上の所在等不明共有者の不動産管理制度など、状況に応じた制度の使い分けが必要です。
