解説
財産管理人制度は、所有者の所在が不明、相続人が不存在、本人の判断能力が不十分などの理由で、財産の適切な管理ができない場合に、家庭裁判所が管理人を選任して財産の保全や処分を行わせる制度の総称です。空き家分野では、相続人不存在のケースで選任される相続財産清算人、所有者の所在不明時の不在者財産管理人、共有物の所在不明共有者がいる場合の所在等不明共有者の財産管理制度などが活用されます。2023年4月施行の改正民法で、新たに「所有者不明土地管理制度」「所有者不明建物管理制度」「管理不全土地管理制度」「管理不全建物管理制度」が加わり、選択肢が広がりました。これらは個別の不動産に着目して管理人を選任する制度で、空き家対策における新たな手段として注目されています。
関連法令・制度
主な根拠は民法第25条以下(不在者の財産管理)、第952条以下(相続財産の清算)、改正民法第264条の2以下(所有者不明・管理不全土地建物管理)です。手続は家事事件手続法に基づき家庭裁判所が所管します。市町村が利害関係人として申立人になる例も増えています。
空き家所有者にとっての意味
相続関係が複雑、または共有者の一部が連絡不能となっている空き家では、これらの制度を活用して売却や処分を進められることがあります。家庭裁判所への申立てには予納金が必要となる場合があり、数十万円から百万円程度を求められることもあります。市町村が公益的観点から申立人になる例もあり、空き家対策の場面でも活用が広がっています。専門家(司法書士・弁護士)への相談が現実的な出発点となります。隣地が所有者不明空き家になっている場合も、隣地所有者の立場から申立てを行うことができ、境界確定や買取り交渉の道筋がつけられる可能性があります。
よくある誤解・注意点
管理人が選任されても所有権が移転するわけではありません。あくまで管理・処分を代行する立場です。また、一連の手続には時間と費用がかかるため、早期に相続登記を整えておくことが、結果的に費用と労力を抑えることにつながります。
