解説

認知症は、何らかの原因で脳の働きが 継続的に低下 していく状態の総称です。原因疾患はアルツハイマー型・脳血管性・レビー小体型などさまざまで、進行の速さや症状の出方も人によって異なります。本記事は医学的解説ではなく、空き家・実家の文脈で 「ご家族の判断にどう影響するか」 を整理する立場でまとめています。

判断能力と財産管理の関係

日本の法制度は 「契約・取引は本人の意思に基づく」 ことを前提に組まれています。判断能力が低下すると、次のような行為が事実上止まる場面が出てきます。

  • 銀行窓口での まとまった預金の引き出し(不動産売却代金の受け取りなど)

  • 実家の 売却・賃貸借契約・抵当権抹消

  • 介護施設入所のための 定期預金解約

  • 生前贈与遺言の作成・変更

これは差し押さえではなく、「ご本人の意思が確認できないため、手続きを進める前提が崩れる」状態です。財産凍結とも呼ばれます。

軽度認知障害(MCI)との違い

認知症の前段階として 軽度認知障害(MCI) という状態があります。MCIは「年齢相応より物忘れが多いが、日常生活には支障が少ない」段階で、契約の意思表示ができるケースも多いとされます。MCIの段階で 家族信託任意後見 を組むことは可能とされており、主治医の診断書を取り、公証人面談を経るのが一般的です。

空き家所有者にとっての意味

ご両親の物忘れが目立ち始めた段階は、 実家の今後をご家族で並べて検討する転換点 になることが多い時期です。判断能力があるうちは、いま売却する/信託にして将来の柔軟性を残す/いまの状態で見守る、のいずれの選択肢も取れますが、進行後は選択肢が限られていきます。詳しい選択肢は別記事「親の認知症で実家が動かせなくなる前に…?|家族信託の費用・手続き・3つの注意点」もご参照ください。

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