解説

財産凍結は法律用語ではなく、 実務上の通称 です。ご本人の 認知症 進行などで意思確認ができなくなったとき、銀行・不動産取引・契約手続きが事実上止まる状態を指して使われます。「凍結」と聞くと差し押さえのような響きですが、 資産そのものが法的に拘束されるわけではありません。あくまで「動かす前提(本人の意思)」が崩れる、という状態です。

実務上、動かなくなる主な行為

領域

動かなくなる典型例

銀行口座

まとまった引き出し、定期預金の解約、新規口座開設

不動産

売却契約、賃貸借契約、抵当権抹消、リフォーム契約

生前対策

遺言の作成・変更、生前贈与、保険契約の見直し

介護・医療

施設入所契約(身上監護に該当する手続き)

なぜ「凍結」されるのか

金融機関や不動産取引の現場は、 後日「本人の意思ではなかった」と争いになるリスク を避けるため、判断能力に懸念がある段階で取引を保留する運用を取っています。これは違法ではなく、むしろご本人の財産保護を目的とした慣行です。ただし、ご家族としては「親の家を売って介護費用を作りたいのに動かせない」といった現実の困りごとに直結します。

解除・予防の方法

いったん財産凍結が起きてしまった場合、現行制度では 成年後見制度 による家庭裁判所の関与が選択肢になります。ただし、後見人による不動産売却には家庭裁判所の許可が必要で、 柔軟な処分は難しい のが一般的です。
予防策としては、判断能力があるうちに以下を準備しておく方法があります。

  • 家族信託(民事信託)— 財産管理を契約で家族に任せる

  • 任意後見 — 判断能力低下時に備え、後見人をあらかじめ指定する

  • 銀行の 代理人カード予約型代理人サービス の活用

空き家所有者にとっての意味

実家の今後を考える段階で、 「いつ動かすか」よりも「動かせる状態を維持できるか」 が重要な観点になります。ご両親の判断能力が下がる前に、 売る・貸す・信託にする・現状維持 のいずれを選ぶかをご家族で話し合っておかれると、選択肢を広く保てます。詳しくは別記事「親の認知症で実家が動かせなくなる前に…?|家族信託の費用・手続き・3つの注意点」もあわせてご参照ください。

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