解説

蟻害(ぎがい)とは、シロアリやクロアリ類による木材の食害や建物への被害を指す総称です。日本の住宅で問題となる蟻害の大半はシロアリによるもので、特にヤマトシロアリとイエシロアリの加害が多く報告されます。蟻害の主な発生箇所は、土台・大引き・根太・床束などの床下部分、浴室や勝手口周辺の框、玄関の上がり框、雨漏りのある屋根裏などです。被害が進行すると木材内部が空洞化し、構造的な強度低下を引き起こすことがあります。蟻道(ぎどう)と呼ばれる土製のトンネル、羽アリの群飛、木材を叩いた時の空洞音、床のきしみや沈みなどが早期発見の手がかりとなります。

関連法令・制度

建築基準法施行令第49条で、地面から1m以内の木部への防蟻措置が義務付けられています。住宅性能表示制度の劣化対策等級では、蟻害対策の措置内容が評価項目です。公益社団法人日本しろあり対策協会が認定する防蟻施工標準仕様書に基づく施工が一般的で、薬剤の有効期間は概ね5年とされ、定期的な再施工が推奨されます。

空き家所有者にとっての意味

空き家は人の出入りが少なく、蟻害の発見が遅れがちです。年1回程度の床下点検が早期発見につながります。多くのシロアリ防除業者は無料点検を実施しているため、活用が現実的です。被害が軽微な場合の駆除費用は15〜30万円程度ですが、構造材の交換を伴う場合はさらに加算されます。火災保険の標準補償では蟻害は対象外ですが、特約や別途保険でカバーできる場合もあるため、契約内容の確認が有効です。

よくある誤解・注意点

「コンクリート基礎なら蟻害はない」とは限らず、基礎の打ち継ぎ部やひび割れから侵入することがあります。また「乾燥した木材は食われない」も誤りで、配管漏れなどで局所的に湿った箇所から被害が始まることがあります。床下点検口を設けていない住宅でも、和室畳下や脱衣所からアクセス可能な場合があります。

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