解説

略式代執行は、空き家の所有者を過失なく確知することができない場合に、市町村が命令などの相手方を特定する手続を経ずに、除却や修繕などの必要な措置を実施する制度です。通常の行政代執行では事前の命令や戒告が必要ですが、相手方が不明では成立しないため、相当の期間を定めた公告を経たうえで実施できる仕組みが設けられています。実務上は登記簿、住民票、戸籍、現地調査などを可能な範囲で調査し、それでも所有者が判明しない場合に限られます。相続が複数代にわたって放置されている空き家や、所有者が長期間消息不明となっている物件などで活用される例があります。

関連法令・制度

根拠は空家等対策特別措置法第22条第10項です。手続上の公告期間や費用の取扱いについて、国土交通省が公表するガイドラインに沿って運用されています。費用は事後に所有者・相続人へ請求できる旨が法に定められています。

空き家所有者にとっての意味

相続登記が長く放置されている空き家では、後に所有者が判明したときに費用請求を受ける可能性があります。費用は本人から徴収できる旨が法律に定められており、相続人に対しても請求が及ぶことがあります。所有者を確知される状態にしておくこと、つまり相続登記を整えておくことが、本制度の対象とならない第一歩です。2024年4月から相続登記が義務化されており、正当な理由なく未登記のままにしておくと過料の対象にもなります。空き家を相続した場合は、早期に登記と現況確認を行い、必要に応じて司法書士へ相談することが現実的な対応となります。所有者不明土地問題への対応として、登記の更新を進めることが地域全体の対策にもつながります。

よくある誤解・注意点

「所有者不明なら費用負担も発生しない」というのは誤解です。後日判明した所有者・相続人に請求が及ぶことがあります。また、略式代執行は通常の代執行を簡略化したものではなく、相手方を確知できない場合に限られる例外的な手続です。

関連用語