解説
相続登記の義務化とは、不動産を相続した人に対し、一定期間内に法務局へ相続登記を申請することを法律上の義務とした制度です。これまで相続登記には期限がなく、登記をしないまま放置される土地や家屋が全国で増え、結果として所有者の分からない不動産が広がっていました。所有者不明土地は公共事業や民間取引、空き家対策の妨げとなることから、国は2021年に法律を改正し、2024年4月から義務化を施行しています。施行日以前に発生した相続も対象とされており、過去にさかのぼって登記が必要となる点が大きな特徴です。
関連法令・制度
根拠法は不動産登記法第76条の2であり、相続により不動産の所有権を取得した者は、所有権の取得を知った日から3年以内に登記申請を行う必要があります。期限内に登記が難しい場合に活用できる「相続人申告登記」の制度も同時に整備されています。
空き家所有者にとっての意味
親や祖父母名義のまま放置されている実家・土地がある場合、所有者は相続登記を行う義務を負います。義務化以前に相続が発生したケースでは、2027年3月末までに登記または相続人申告登記を行う必要があります。義務を果たすことで、不動産の所有者が公的に明確になり、その後の売却・賃貸・解体・行政手続きをスムーズに進められるようになります。すぐに遺産分割が決まらない場合でも、まずは「相続人申告登記」によって義務を一部果たしておく方法が用意されています。
よくある誤解・注意点
「相続登記の義務化は新しい相続だけが対象」と思われがちですが、過去の相続にもさかのぼって適用されます。また、正当な理由なく期限を過ぎると10万円以下の過料の対象となる可能性があるため、早めに法務局や司法書士へ相談することが望まれます。
