解説

既存不適格建築物は、建築時点では当時の建築基準法やその他の法令に適合していたものの、その後の法令改正によって現行の基準に適合しなくなった建築物を指します。たとえば、新耐震基準(1981年6月施行)以前に建てられた建物、現行の容積率建ぺい率を超える建物、現行の用途制限に合わない建物、現行の防火・準防火地域指定に合わない木造建築などが該当します。違法建築とは異なり、現存している限り使用が認められますが、増改築や大規模な修繕の際には現行基準への適合が必要となる場合があります。空き家として相続される建物の多くは築年数が経っており、何らかの形で既存不適格になっている可能性が高い、と意識して向き合うことが現実的です。

関連法令・制度

根拠は建築基準法第3条第2項(既存不適格に関する適用除外規定)です。同法第86条の7に既存不適格建築物の増改築等に関する緩和規定が設けられており、所定の条件下で部分的な改修が可能です。耐震改修促進法に基づく耐震診断・改修補助制度なども併用できる場合があります。

空き家所有者にとっての意味

既存不適格に該当する空き家は、現状のまま使用や売買は可能ですが、大規模改修や用途変更を行う際には現行基準に合わせる必要が生じることがあります。耐震性、防火性、設備の現行基準適合度を把握しておくと、活用や売却の検討材料になります。耐震診断や建築士による事前調査、自治体の耐震改修補助金の活用なども現実的な選択肢です。中古住宅の取引では重要事項説明で既存不適格の状況が示されることがあります。買主側のリフォーム計画と既存不適格の関係も、事前に情報共有しておくと取引が円滑になります。

よくある誤解・注意点

既存不適格は違法建築とは別の概念です。違法建築は建築当時から法令違反だった建物を指し、是正の対象となり得ます。一方、既存不適格は適法に建てられた建物であり、現存使用は認められます。両者を混同しないことが大切です。

関連用語