2025年4月1日に施行された改正建築基準法は、木造戸建住宅の建築確認の仕組み(いわゆる4号特例の見直し)と、省エネ基準の適合義務化を柱とする大きな制度変更でした。施行から約1年、2026年3月31日で経過措置の期限が切れ、4月1日からは経過措置の対象だった建物も既存不適格として扱われる段階に入っています。

つまり、6月の時点で空き家をお持ちの方が気にしておきたいのは「いつから影響が出るか」ではなく、「すでに影響が出ている前提でどう備えるか」という段階だ、ということです。本記事では、既存の空き家を持つ方の視点で、改正の影響を3点に絞って整理します。

影響1: リフォーム・増改築で建築確認申請が必要になるケースが増えた

最初に押さえておきたいのが、従来は確認申請が不要だった戸建リフォームでも、申請が必要になるケースが増えたことです。

4号特例の見直しで何が変わったか

改正前は、木造2階建て以下・延べ面積500㎡以下の住宅(いわゆる4号建築物)であれば、建築士の設計であることを条件に、建築確認時に構造関係図書などの審査を省略できました。これが「4号特例」と呼ばれてきた仕組みです。

改正後は建築物の区分が再編され、概略は次のとおりです。

区分

該当する木造住宅の範囲

確認申請時の審査

新2号建築物

木造2階建て、または延べ面積200㎡超の平屋

構造関係規定を含めて審査

新3号建築物

木造平屋・延べ面積200㎡以下

都市計画区域内のみ申請対象(審査省略の余地あり)

国土交通省が公開しているパンフレットでも、「省エネ基準の適合義務化に併せて、木造戸建住宅を建築する場合の建築確認手続きが見直されます」と明記されています(国交省『「4号特例」見直し3つのポイント』)。

既存空き家の持ち主に関係する具体例

新築だけの話ではありません。一定規模以上の増築や、構造に関わる大規模リフォームを行うときは、改正後の基準で確認申請が必要になります。一般的な木造2階建ての実家を、たとえば次のように手を入れる場合は要注意です。

確認申請が必要になると、構造図面の作成・構造計算・現行基準への適合確認が求められる場合があり、当初の見積もりよりリフォーム費用や工期が膨らみやすい点が、実務上の最大のハードルです。

影響2: 省エネ基準の適合義務化と「既存不適格」の広がり

2点目は、省エネ基準と既存不適格の問題です。

2025年4月から原則すべての新築に省エネ基準が義務化

改正建築物省エネ法により、2025年4月1日以降に着工する原則すべての新築住宅・非住宅で、省エネ基準への適合が建築確認の対象になりました(国土交通省『改正建築物省エネ法・建築基準法等に関する解説資料』)。断熱性能や一次エネルギー消費量の基準を満たさないと、新築自体ができなくなる仕組みです。

既存空き家は「既存不適格」になりやすい

ここで持ち主の方が気にされやすいのが、「うちの古い家はそのままだと違法になるのか?」という点ですが、結論から言うとそのまま住み続ける・所有を続ける分には違法にはなりません

ただし、現行基準を満たさない建物は法律上「既存不適格建築物」という扱いになり、次のような場面で扱いが難しくなります。

特に1981年5月以前の旧耐震基準の建物は、構造面でも既存不適格に該当することが多く、改正後はリフォーム見積もりが想定より大きくなる傾向があります。

2026年4月以降は経過措置の対象建物も既存不適格化

国交省の資料では、施行日(2025年4月1日)から1年間、一定の小規模木造建築物については現行基準でも検証可能とする経過措置が設けられていました。この経過措置は2026年3月31日で終了しており、その後に着工する建物で新基準に適合しないものは、既存不適格として扱われることになります。つまり6月の今、改正前の感覚で見積もりを取った計画は、再確認が必要な時期に入っています。

影響3: 「空家等活用促進区域」で接道規制の緩和という追い風

3点目は、ご負担側の話ばかりではなく、条件次第で活用しやすくなる方向の改正にも触れておきたい点です。

空家等対策特別措置法と建築基準法の連動

2023年12月13日に施行された改正空家等対策特別措置法(令和5年法律第50号)では、市町村が「空家等活用促進区域」を指定できる仕組みが新設されました(国交省 住宅局)。

この区域に指定された地域では、建築基準法の集団規定について、接道規制や用途規制を市町村が条例で緩和できるようになっています。たとえば本来は幅員4m以上の道路に2m以上接道していないと再建築できない土地でも、空家等活用促進区域内で要件を満たせば、4m未満の道路に接する敷地でも建替えや改築の道が開ける場合があります。

「再建築不可」と諦めていた空き家にも光がさす

これまで、

といった理由で活用が止まっていた空き家にとっては、自治体が空家等活用促進区域を指定するかどうかが次の判断材料になります。区域指定の有無は市町村ごとに異なるので、空き家のある自治体のホームページや空家対策計画で確認するのがおすすめです。

サントの現場視点

東大阪・八尾・大阪市で空き家のご相談をいただく中で、改正後に増えてきたのが「リフォームの見積もりが想定より高くなった」というお声です。古い木造2階建てを大規模リフォームしようとすると、4号特例の見直しと省エネ基準の関係で構造補強や断熱改修の項目が積み上がり、当初イメージの倍近い金額になることもあります。

サントは宅地建物取引業免許(大阪府知事(3)第55806号)に加え、建設業許可(解体工事業、大阪府知事(般-3)第137183号)を保有しています。自社で解体まで内製化しているため、

の3つを横並びで比較し、改正後の制度を踏まえた出口別の見立てを一度のご相談でお出しできます。再建築不可で諦めていた土地についても、空家等活用促進区域の指定状況を確認したうえで現況買取が可能なケースもありますので、まず手元の選択肢を整理されたい方はお気軽にご相談ください。

FAQ

Q. 何もせず空き家を持ち続けると違法になりますか?

A. いいえ。既存不適格になっても、所有・居住を続ける分には違法ではありません。大規模なリフォーム・増改築・用途変更を行うときに現行基準が問われます。

Q. 改正後にリフォーム費用は上がりましたか?

A. 工事内容によります。表層の内装替えのみであれば大きな影響は出にくいですが、構造や屋根・断熱に関わる工事を伴う場合、確認申請や構造補強の費用が上乗せされやすくなっています。

Q. 売却を考える場合に何から始めればよいですか?

A. 大規模リフォーム前提で持つか、現況のまま売却するかで判断材料が変わります。築年数・接道状況・空家等活用促進区域の指定状況の3点を整理し、複数の出口を比較するのが現実的です。

まとめ

2025年4月施行の改正建築基準法は、(1)4号特例見直しによる確認申請対象の拡大、(2)省エネ基準義務化に伴う既存不適格の広がり、(3)空家等活用促進区域における規制緩和、の3点で既存空き家に影響を及ぼしています。2026年3月で経過措置も終わり、6月の今は「制度を前提に手元の選択肢を見直す」よい区切りの時期です。リフォーム・解体・売却を横並びで比較し、ご自身の空き家にとって無理のない出口を一つずつ確認していきましょう。

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