概算取得費は、不動産の取得時の金額が不明な場合の実務対応です。売却額の5%を取得費として計算できる制度で、所得税法38条の2に基づきます。相続で古い実家を受け継いだご家族では、取得時の書類が見つからないことが多く、この概算取得費で計算するご家庭があります。ただし譲渡所得が過大になりがちなため、実際の取得費が分かればそちらの方が有利です。ここでは使い方、注意点、実額を探す方法を説明します。

概算取得費の計算式

概算取得費 = 譲渡価額 × 5%

例:売却額1,800万円の場合、概算取得費は90万円。譲渡所得の計算は次のようになります。

  • 譲渡価額:1,800万円
  • 概算取得費:△90万円(1,800万円 × 5%)
  • 譲渡費用:△100万円
  • 譲渡所得:1,610万円

実額取得費との比較

親御さんが1980年に800万円で実家を購入されていた場合を比較します。

項目概算取得費実額取得費
取得費90万円800万円
譲渡所得(1,800万円売却)1,610万円900万円
税額(20.315%)約327万円約183万円
節税差額約144万円

実額取得費が分かれば、大幅に譲渡所得を減らせる可能性があります。

取得費を探す方法

  • 売買契約書:ご両親の仏壇の引き出し、金庫、書類棚
  • 領収書手付金・残金の領収書
  • 登記事項証明書:法務局の閲覧履歴
  • ご両親の日記・家計簿:購入時の記録
  • 不動産会社への問い合わせ:取扱業者に取引記録が残っている場合

「見つからないから概算」と決めつけず、書類を探されることで数百万円の節税につながる可能性もあります。

建物の減価償却は必要

取得費に含まれる建物価値は、経年で減価償却される必要があります。木造戸建ての場合、非事業用(居住用)は耐用年数33年で計算します。取得時の建物金額から、経過年数分の減価を差し引いた金額が、実際の取得費計算に使われます。

よくあるご質問|FAQ

Q1. 概算取得費は必ず売却額の5%ですか?

はい、所得税法38条の2で「売却額の5%」と定められています。5%より少ない場合でも、5%を下回ることはできません。

Q2. 実額と概算のどちらか選べますか?

はい、有利な方を選べます。実額が売却額の5%より大きい場合は実額、5%以下の場合は概算を選ぶのが一般的です。

Q3. 一部の書類だけ見つかった場合は?

売買契約書だけでも実額計算が可能な場合があります。ただし諸経費の証拠がない場合、諸経費は含められません。税理士にご相談されるのが安心です。

Q4. 相続時の路線価は取得費に使えますか?

いいえ、路線価相続税評価額であり、譲渡所得の取得費計算には使えません。原則は購入時の実額です。

Q5. 増改築費用は取得費に含められますか?

はい、増改築費用は取得費に含められます。ただし、通常の修繕費(防水塗装、水回り交換等)は取得費ではなく、維持管理費として扱われます。

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出典・参考リンク

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