「実家を売るのは寂しいので、貸す方向で考えたい」
「リフォーム費を200万円ほどかければ、家賃で回収できるだろうか」
「同居していた頃の思い出があるので、まずは貸してみたい」
相続した実家について、こうした「売らずに貸す」ご相談をいただきます。売却は最終手段のように感じられるため、「まずは貸して様子を見たい」というお気持ちは自然なものです。
ただ、貸すという判断が採算的に成り立つかどうかは、感情ではなく 数字 で見えてきます。この記事では、東大阪・八尾・大阪市の戸建て家賃相場、昭和の住宅を賃貸に出せる状態にするまでの費用、そして利回り計算の3つの軸で、貸したときの現実的な手取りをご紹介します。
まず結論として|「貸して採算が合うか」は3つの数字で決まる
実家を貸して採算が合うかどうかは、次の3つの数字で判断できます。
- ①家賃相場:エリアの戸建て賃貸の月額家賃
- ②コスト:初期リフォーム費と、毎年の維持費
- ③利回り:表面利回りと、諸経費を差し引いた実質利回り
この3つを並べてみると、「なんとなく貸したい」というお気持ちが「本当に貸すべきか、売却の方が家計上は楽か」に変わっていきます。順に見ていきます。
①家賃相場|東大阪・八尾・大阪市の戸建て賃貸のいま
まずは、貸したときにいくらで貸せるのかの家賃相場を、大阪府東部エリアの実際の相場でご紹介します。
| エリア | 戸建て賃貸の家賃相場(月額) |
|---|---|
| 東大阪市 | 約 5.08万円 |
| 八尾市 | 約 7.60万円 |
| 大阪市 | 約 7.19万円 |
データはこだて賃貸(大阪府の一戸建て賃貸家賃相場)を参考にしています。年間家賃収入で見ると、東大阪で 約61万円、八尾で 約91万円、大阪市で 約86万円 となります。この金額が「表面上の家賃収入」の上限です。ここから費用と空室リスクを差し引いた金額が、実際にご家族の手元に残ります。
ただし、これは築浅も含めた全戸建ての平均相場です。築40年以上の昭和戸建て になると、相場より 2〜4割ほど下がる ことが多くなります。東大阪の場合、実質は月3.5〜4万円あたりが現実的な家賃となる場合が多いです。
②コスト|昭和戸建てを貸せる状態にするまでの費用
次にコストです。相続した昭和の住宅は、そのままでは賃貸募集が難しい場合が多くあります。貸し出す前に「初期費用」、貸し出した後は「毎年の固定費」がかかります。
初期費用|貸し出す前にかかる費用
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 内装リフォーム(クロス・床の張り替え) | 50〜150万円 |
| 水まわり設備の交換(キッチン・浴室・トイレ) | 100〜300万円 |
| 給排水管の補修・更新 | 30〜100万円 |
| 耐震補強(必要な場合) | 100〜300万円 |
| ハウスクリーニング | 5〜15万円 |
| 合計の目安 | 200〜800万円 |
「クロスと床だけ張り替えて安く済ませたい」というお気持ちもわかりますが、水まわり設備が古いままだと入居申込がなかなか入りません。築40年以上の戸建てを賃貸に出す場合、最低でも200万円、水まわりまで手を入れると500万円前後 が目安となります。
毎年かかる固定費
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 年5〜15万円 |
| 火災保険・地震保険 | 年2〜5万円 |
| 賃貸管理会社への管理料 | 月家賃の5〜8% |
| 退去時の原状回復・募集費用 | 数年ごとに10〜30万円 |
家賃6万円の物件で管理料8%だと月4,800円、年で約5.8万円です。固定資産税と保険を合わせると 毎年10〜20万円 の固定費がかかります。加えて数年ごとに退去・原状回復の費用が発生します。
③利回り計算|表面利回りと実質利回りで「手元に残る金額」を見る
ここまでの家賃とコストを、利回りの数字に落としてみます。利回りは「投じたお金に対して、年いくら戻ってくるか」の指標です。
表面利回り|まずざっくり判断する用
表面利回りは、家賃収入をリフォーム投資額で割った、シンプルな数字です。
表面利回り = 年間家賃収入 ÷ リフォーム投資額 × 100
東大阪の実家を、リフォーム300万円で貸すと想定します。家賃月4万円(築年が古い家なので相場より低め)とすると:
- 年間家賃収入:4万円 × 12か月 = 48万円
- 表面利回り:48万円 ÷ 300万円 × 100 = 16.0%
「表面利回り16%」と聞くと、投資物件として十分に見えます。ただし、これはあくまで表面上の数字。実際の手取りは、次の実質利回りで見えてきます。
実質利回り|現実的な手取りを見る用
実質利回りは、諸経費を差し引いた実際の手取りを、投資額で割ります。
実質利回り =(年間家賃収入 − 諸経費)÷ リフォーム投資額 × 100
先ほどの東大阪の実家で、諸経費を差し引きます:
- 年間家賃収入:48万円
- 固定資産税・保険:年 △10万円
- 管理料(家賃の8%):年 △3.8万円
- 年間の維持費・積立(原状回復等):△5万円
- 諸経費合計:△18.8万円
- 実質収入:48万円 − 18.8万円 = 約29万円
- 実質利回り:29万円 ÷ 300万円 × 100 = 約9.7%
これでも投資として悪くはない数字ですが、次の要素が実際にはさらに引き算されます。
- 空室リスク:常に満室ではなく、退去〜次の入居まで1〜3か月空くことも
- 賃貸中は売却しにくい:入居者がいる状態で売る「オーナーチェンジ」は買主が限られ、価格も下がりがち
- 建物の傷みは進む:入居者がいても屋根・外壁・給排水の老朽化は進行
- 賃借人トラブル:家賃滞納・原状回復トラブルなど、精神的負担が発生することも
これらを織り込むと、実質利回りは 5〜7% あたりに落ち着くことが多くなります。300万円のリフォーム投資回収には、6〜10年前後が目安となる計算です。
「貸す」が合いやすいご家族、「売る」が合いやすいご家族
3つの数字を並べたうえで、「貸す」と「売る」のどちらが合いやすいかを見ていきます。
「貸す」が合いやすいご家族
- 実家の立地が良い(駅徒歩10分以内、学区が人気、商業地に近い)
- リフォーム費を100万円台に抑えられる状態(水まわりが比較的新しい)
- 賃貸経営に興味があり、賃借人対応の手間を許容できる
- 相続税対策として貸家評価減を活用したい
- 10年以上のスパンで保有し続けるお気持ちがある
「売る」が合いやすいご家族
- 実家が郊外や駅から遠い立地
- リフォーム費が300万円を超える見込み
- ご家族の中に賃貸経営の経験者がいない
- 相続人が複数いて、賃料の分配で揉めそう
- 空き家3,000万円特別控除(2027年12月まで)の適用期限が近い
「貸してみて、うまく行かなければ売る」というお気持ちもよくわかりますが、貸してしまうと 空き家3,000万円特別控除の対象から外れる ため、税制上の不利が生じます。貸すか売るかは、可能なら最初の段階で判断されるのが得策です。
サント(東大阪・八尾・大阪市)が窓口としてお手伝いできること
株式会社サントは、大阪府東部で空き家の買取・再販を行ってきました。「貸す」「売る」の判断材料を、ご家族の実家の状況に合わせて並べてご提案しております。
- 現況のままでの 買取査定(リフォーム前提なし)
- 「貸す」と「売る」の 手取り額を並べた比較資料
- 賃貸に出す場合の 提携リフォーム会社 のご紹介
- 賃貸中の物件の売却(オーナーチェンジ)にも対応
- 狭小地・底地・借家人付き物件の個別相談
よくあるご質問|FAQ
Q1. 表面利回り20%なら、絶対に貸したほうが得ですか?
いいえ、表面利回りだけで判断するのは早計です。空室期間、賃借人トラブル、建物の老朽化、原状回復費——これらを織り込んだ実質利回りは、多くの場合5〜7%前後に落ち着きます。加えて「賃貸中は売りにくくなる」「特別控除が使えなくなる」といった副次的な不利益もあります。実質利回りと合わせて総合判断されると安心です。
Q2. リフォームせず現状のまま貸し出すのは可能でしょうか?
可能ですが、家賃は相場より 3〜5割ほど下がる と考えたほうがよいです。加えて、賃借人が見つかるまで数か月以上かかる、家賃滞納リスクが高くなる、といった副作用もあります。「入居者を選べない」状態にもなりがちで、後々のトラブルの原因になることもあります。現状渡しは、家賃を大幅に下げてもよいご家族向けの進め方です。
Q3. 親名義のままで貸し出すことはできますか?
できません。賃貸借契約は所有者が締結するのが原則ですので、相続登記を完了させて名義を相続人に移してから 賃貸募集をかけることになります。2024年4月の相続登記義務化により、いずれにせよ登記は必要ですので、貸すご検討の際は登記から先に進めるのがおすすめです。
Q4. 賃貸中の物件でも売却できますか?
可能です。賃借人が入居したまま所有権を移転する売買を「オーナーチェンジ」といいます。ただし、買主は「賃借人がいる状態」で買うため、居住用として買う一般のご家族ではなく、不動産投資家や買取業者に限られます。価格も一般売買より 2〜3割ほど下がる ことが多くなります。サントは借家人付き物件の買取にも対応しております。
Q5. 「貸す」を選んで失敗するパターンは?
よく伺うのは次の3つです:
① リフォーム費を回収する前に賃借人が退去し、その後空室が続く:立地が弱いエリアで発生しがち
② 賃借人とのトラブル(家賃滞納、近隣クレーム)に精神的に疲弊する:ご高齢のご家族で発生しやすい
③ 賃貸に出したことで税制優遇(3,000万円控除)を失う:後になって「売る方が得だった」と気づくパターン
数字だけでなく、ご家族の手間・体力を含めて判断されると安心です。
まとめ|「貸して採算が合うか」は3つの数字で判断できる
実家を貸して採算が合うかどうかは、感情ではなく数字で見えてきます。
- ①家賃相場:東大阪5万円台/八尾7万円台/大阪市7万円台。築年が古い戸建てはこれより2〜4割低め
- ②コスト:初期リフォーム200〜800万円/毎年10〜20万円の固定費
- ③実質利回り:空室リスク込みで多くは5〜7%程度
「なんとなく貸したい」だけで進めると、リフォーム費の回収に10年以上かかる、賃借人トラブルに疲弊する、といった状態になることもあります。「売る」も含めて3つの数字を並べたうえで、ご家族の状況に合う進め方を選ばれると安心です。
東大阪・八尾・大阪市で空き家のご相談ならサントへ
株式会社サントは、東大阪市・八尾市を中心に大阪府内全域で空き家の買取・再販を行ってきました。「貸す」と「売る」を並べた比較資料の提供から、現況のままでの買取、賃貸中物件のオーナーチェンジ買取まで、ご家族の窓口として一貫してお手伝いいたします。査定・ご相談は無料、判断材料としてご利用いただけます。
