「相続してから半年、実家のことが進まないまま次のお盆が近づいてきた」
「兄弟で話し合う機会が減っていて、判断を先延ばししている」
「物置として使っているうちに、いつのまにか5年経ってしまった」
相続した実家を持つご家族から、よく寄せられるお声です。時間が経つにつれて、売却するか保有するか、判断が難しくなっていきます。
ではどこで、売却へ進むご家族と、保有を続けるご家族の道が分かれるのでしょうか。国土交通省の 「令和元年空き家所有者実態調査」(回収5,791件、全国の空き家所有者を対象)のデータをもとに、統計から見える 3つの分かれ道 をご紹介します。
第1の分かれ道|相続後の登記を済ませているか
1つ目の分かれ道は「登記が済んでいるか」です。国交省調査から、取得経緯別の登記未了率を見ていきます。
取得経緯と登記実施率のデータ
| 取得経緯 | 構成比 | 登記・名義変更が未了の割合 |
|---|---|---|
| 相続 | 54.6%(最多) | 17.8% |
| 新築・建て替え | 18.8% | 15.8% |
| 中古住宅を購入 | 14.0% | 8.4%(最少) |
| 贈与 | 3.1% | ─ |
空き家の 54.6%が相続によって取得 されていて、これは最大の取得経路です。ところが相続取得の空き家のうち 17.8% が登記や名義変更を済ませていない ことが、この調査から見えています。中古購入の8.4%と比べると、相続後の未登記率はおよそ2倍にのぼります。
なぜ登記の放置が売却の壁になるのか
登記が済んでいないと、その不動産は法律上の所有者が明確にならないままです。ここから、いくつか具体的な問題が生じます。
- 売買契約の締結ができない:買主は、所有者と契約するのが原則。登記名義が亡くなった親御さんのままだと、契約書を作れません
- ご兄弟の同意集めが後回しになる:相続人が10人以上に膨らむと、書類を集めるだけで数か月かかることもあります
- 次の代へ問題が持ち越される:登記を放置したまま自分の代でお亡くなりになると、次世代がさらに複雑な相続を引き継ぐことになります
2024年4月の 相続登記義務化 により、この問題は「気にしなくてよい」ものから「気にせざるを得ない」ものへと変わりました。3年以内の登記申請が求められ、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が科される可能性もあります。売却するご家族が最初につまずくのは、この登記の未了だったというデータが示されています。
第2の分かれ道|管理の頻度で「心配ごとの数」が変わる
2つ目の分かれ道は「実家を見に行く頻度」です。国交省調査は、管理頻度と「心配ごと」の関係を明らかにしています。
管理頻度と「心配ごとがない」と答えた割合
| 管理頻度 | 「心配ごとはない」と答えた割合 |
|---|---|
| ほぼ毎日 | 41.4% |
| 週に1〜数回 | 25.6% |
| 月に1〜数回 | 17.7% |
| 年に1〜数回 | 9.8% |
ほぼ毎日見に行くご家族の 41.4%は心配ごとがない と答えていますが、年に数回しか行けないご家族では 9.8%まで下がります。頻度が下がるほど、雑草・水回り・郵便物の溜まりなど、把握しきれない事柄が増えていくためです。
管理頻度そのものの分布
ではご家族はどのくらいの頻度で実家を管理されているのか。全体の分布を見ます。
| 頻度 | 割合 |
|---|---|
| ほぼ毎日 | 15.5% |
| 週に1〜数回 | 19.1% |
| 月に1〜数回 | 36.4%(最多) |
| 年に1〜数回 | 24.7%(約4人に1人) |
最も多いのが「月に1〜数回」の36.4%、次が「年に1〜数回」の24.7%です。約4人に1人 のご家族は、実家を年に数回しか見に行けていません。遠方にお住まいの方、ご勤務や介護のご事情がある方は、この層に含まれます。
心配ごとの積み重なりが判断のきっかけになる
年に数回しか行けないご家族では、次のような小さな心配ごとが積み重なっていきます。
- 台風のたびに屋根や外壁が心配で夜眠れない
- 雑草が伸びていないか、ご近所からのご連絡が気になる
- 郵便物や訪問販売の対応が難しい
- 水漏れや害虫の発生に気づけない
「1つ2つは我慢できるけれど、4つ5つ重なると考える時間が取れなくなる」——ご相談に来られるご家族から、こうしたお声を伺います。実家までの距離と管理の頻度が、「そろそろ判断のタイミングかも」という気持ちにつながっていきます。
第3の分かれ道|「物置として必要」60.3%という思い込み
3つ目の分かれ道は「空き家にしておく理由」の中身です。「なぜ売却せず保有を続けるのか」を、国交省調査は所有者に尋ねています。
空き家にしておく理由 TOP7
| 順位 | 理由 | 回答割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 物置として必要だから | 60.3% |
| 2位 | 解体費用をかけたくない | 46.9% |
| 3位 | 更地にしても使い道がない | 36.7% |
| 4位 | 好きなときに利用や処分ができなくなる | 33.0% |
| 5位 | 資産として保有しておきたい | 32.1% |
| 6位 | 取り壊すと固定資産税が上がる | 28.7% |
| 7位 | 労力・手間・費用がかかる | 25.1% |
「物置として必要」が判断を先送りする理由
最も多い理由が「物置として必要だから」の60.3%。この回答には、判断を先送りしがちな仕組みが隠れています。
物置というのは「積極的に使っている」というより、「片付けの手間を先送りしている」ことも多いためです。家財が残っていて、片付けるには半日以上かかる。だから「物置として置いておくのが今は一番楽」となります。それが数か月、数年と続いてしまいます。
2位以下も「解体費用が惜しい」「更地にする使い道がない」など、いずれも 「今すぐ何かする理由がない」 という消極的な理由が並びます。積極的に保有を選んだのではなく、判断を先送りしているうちに時間が経ってしまう——それが多くのご家族の実態です。
売却へ進むご家族はこの「先送りの構造」を抜けている
反対に、売却へ進むご家族は、この先送りのループから抜け出しています。よく伺うのは次のようなきっかけです。
- 親の介護や兄弟の転勤で、実家に立ち寄る回数が減った
- 近所からの相談・自治体からの改善指導があった
- 相続登記の義務化(2024年4月〜)で、いずれ何かしないといけないと気づいた
- 大阪府北部地震・台風21号のあと、実家の傷みが目に見えてきた
- お子さんの結婚・住み替えで、実家の話し合いが自然に始まった
データからは「積極的な意思」で保有を続けているご家族と、「先送り」の結果として保有が続いているご家族の違いが見えてきます。
売却へ進むときの3つの課題
「じゃあ売却を始めよう」と決められたご家族には、次の3つの課題が待っています。国交省調査で明らかになった、売却時のお困りごとTOP3です。
売却時のお困りごと TOP3
| 順位 | お困りごと | 回答割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 買い手・借り手の少なさ | 42.3% |
| 2位 | 住宅の傷み | 30.5% |
| 3位 | 設備や建具の古さ | 26.9% |
「買い手が少ない」への対処は買取再販という道
1位の「買い手の少なさ」は、仲介での売却をご検討中のご家族が最初にぶつかる壁です。仲介の場合、買い手が現れるまで数か月から1年以上かかることも珍しくありません。特に築年数が経った戸建て、駅から離れた立地、狭小地・底地では、内見の予約すら入りにくいこともあります。
この場合、選ぶ道は大きく2つあります。
- 仲介で長めに販売する:高値が期待できる立地・状態なら、期間をかけて買い手を待つ
- 買取再販業者に売却する:現況のまま業者が買い取り、業者側でリフォーム・再販する仕組み
買取再販の場合、仲介と比べて売却価格は下がりますが、期間は数週間〜1か月程度と大幅に短縮できます。「早く手放して次の段階へ進みたい」というご家族には現実的な進め方となります。
「住宅の傷み」「設備の古さ」も買取なら問題にならない
2位の「住宅の傷み」、3位の「設備や建具の古さ」も、買取であれば買主側で対応することが多くなります。仲介の場合は買主候補が状態を細かく確認しますが、買取再販業者は建物の状態を前提として買取価格を決めるため、傷みがあっても取引が成立します。
「実家をリフォームしてから売った方がいいのか」というご相談を伺いますが、リフォーム費用を上乗せしても回収できないこともあります。傷んだままの買取価格と、リフォーム後の仲介成約価格を比較すると、多くの場合は買取の方が手取り額が上回るご家族もいらっしゃいます。
サント(東大阪・八尾・大阪市)が窓口としてお手伝いできること
株式会社サントは、大阪府東部で空き家の買取・再販を行ってきました。相続後の登記から売却まで、ご家族の判断材料を並べてご提案しています。
- 現況のままでの 買取査定(リフォーム・解体不要)
- 相続登記未了の実家も リーガルパートナー連携 で対応
- 遠方所有者に代わって 現地確認・写真報告
- 狭小地・底地・借家人付き物件の個別相談
- 買取と仲介の価格・期間の比較資料をご提供
よくあるご質問|FAQ
Q1. このデータの調査時期はいつですか?
本記事で引用したデータは、国土交通省が実施した 「令和元年空き家所有者実態調査」(2019年度、回収5,791件)です。全国の空き家所有者を対象とした最新の詳細調査で、令和6年(2024年)調査の速報も公開されていますが、詳細集計は令和7年度に公表予定となっています。データが古いと感じられるかもしれませんが、空き家保有者の意識や管理実態は数年単位では大きく変わらないと考えられます。
Q2. 3つの分かれ道のうち、まず手を付けるならどれですか?
相続で取得された実家の場合、まず「登記」 から始められると安心です。理由は次のとおりです:
① 2024年4月の義務化により、期限(2027年3月末)が近づいている
② 登記が済まないと、売却も相続人申告登記もできない
③ 登記完了後は、売却・保有どちらの選択でも動きやすくなる
登記のご相談は、司法書士や不動産会社のリーガルパートナー連携で対応できます。
Q3. 「物置として使っている」場合、業者は買い取ってくれますか?
はい、現況のままで買い取れる業者は多くあります。買取再販業者はリフォームや解体を前提としているため、家財が残っていても大丈夫です。ただし、家財の量・状態によって残置物処理費用が査定に反映されます。ご家族で残す物と処分する物を仕分けされてからのご相談で、査定額が上がる傾向があります。
Q4. 買取と仲介、どちらが向いていますか?
ご家族の状況で分かれます。参考の判断軸をご紹介します:
買取が向いているご家族:遠方在住/早期に手放したい/状態が悪い/狭小地・底地/相続人が多く売却時期を合わせたい
仲介が向いているご家族:好立地/築浅/時間に余裕がある/少しでも高く売りたい
両方の見積もりを取って比較されるのがおすすめです。サントでは買取査定と仲介想定価格を並べた比較資料をお渡ししています。
Q5. 自分で判断材料を揃えるのが難しいです。
登記状況、市場価格、管理頻度、家族の意向——判断材料は多岐にわたるため、お一人でご検討されると時間がかかります。まずはお近くの不動産会社に無料査定を依頼されるところから始めるのが現実的です。査定書に添えて周辺の売却事例や買取価格の目安を出してくれる会社なら、判断材料が一気に揃います。
まとめ|3つの分かれ道が見えると、次の一歩が決まる
国交省の5,791件データから見えてきた3つの分かれ道を振り返ります。
- 第1|登記の有無:相続取得の空き家は17.8%が未登記。売却の第一関門
- 第2|管理の頻度:年に数回しか行けないご家族は「心配ごとなし」が9.8%まで下がる
- 第3|保有理由の中身:「物置として必要」60.3%は、多くが判断の先送り
ご家族の実家がどの分かれ道にいらっしゃるかを見極めると、次の一歩が見えてきます。3つのうち1つでも該当されるなら、そろそろ判断材料を並べる時期かもしれません。
東大阪・八尾・大阪市で空き家のご相談ならサントへ
株式会社サントは、東大阪市・八尾市を中心に大阪府内全域で空き家の買取・再販を行ってきました。相続登記のご相談から、現況のままでの買取、遠方の方への現地確認代行まで、ご家族の窓口として一貫してお手伝いいたします。査定・ご相談は無料、「売る・保有」のご判断材料としてご利用いただけます。
