「久しぶりに帰った実家で、天井に大きなシミが広がっていた」「修理見積もりが、思っていた額の3倍だった」 — 梅雨入りの前後になると、こうしたご相談が公的な相談窓口にも数多く寄せられます。
雨漏りは、屋根材そのものが破れて起きるよりも、屋根まわりの小さな取り合い(部材と部材のすき間)から少しずつ進行することが大半です。お住まいの家であれば室内ですぐに気付けますが、空き家は誰もいないため、初期のサインが見落とされがちです。
この記事では、住まいるダイヤル(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)・国民生活センター・国土交通省 住宅瑕疵担保責任保険の相談事例を参考に、梅雨入り前のこの1週間で確認しておきたい「屋根まわり」の3か所にしぼってお伝えします。5月22日に掲載した「換気・湿気の総合対策5つ」と合わせてご覧いただくと、室内側・屋外側の両面から空き家を守れます。
公的な相談データから見える「空き家の雨漏り」の傾向
公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターが運営する「住まいるダイヤル」には、毎年3万件を超える住宅相談が寄せられています。同センターが公表する『住宅相談統計年報』では、相談内容のなかで雨漏り・漏水が常に上位を占めることが報告されています。
国民生活センターにも、梅雨や台風シーズンの前後に「屋根の点検後に高額な工事を勧められた」「修理したはずなのに再発した」といった相談が継続的に寄せられています。同センターは、点検商法のトラブルを避けるために事前にご自身で大まかな状況を把握しておくことを推奨しています。
これらの公的な相談事例から見えてくる共通点は、次の3つです。
雨漏りの引き金の多くは、屋根材そのものではなく 取り合い部のコーキング(シーリング)劣化
コーキングは概ね 10〜15年で硬化・ひび割れが進む
長期不在の空き家では、初期サインに気付ける人が誰もいない
放置されると、屋根下地の腐食 → 天井のシミ・剥離 → 壁内部のカビ → 床の腐食、と段階的に進みます。段階が進むほど、修繕費はひと桁ずつ増えていきます。だからこそ、雨が本格的に降り始める前のいま、ご自身の目で確認できる範囲を点検しておくことに意味があります。
チェックポイント1: 屋根まわりのコーキング(取り合い部)
確認すべき箇所
屋根材と外壁の接合部(板金まわり)
煙突・換気口・天窓まわりの目地
ベランダ・バルコニーの防水層と立ち上がりの接合部
雨漏りの相談で「原因は屋根そのものではなく、板金の継ぎ目のコーキング劣化だった」というケースは非常に多く見られます。屋根材は丈夫でも、取り合い部のコーキングは10年前後で確実に痩せていきます。
安全に確認する方法は?
屋根に登る必要はありません。地上からできる確認で十分です。
双眼鏡または望遠機能のあるスマートフォンで屋根まわりを撮影
コーキングの「黒い線」「白い線」が途切れたり剥がれたりしていないかを確認
ひび割れ・剥がれ・色あせがあれば「要注意のサイン」として写真を残す
撮影した写真は、後で業者に相談する際に大きな判断材料になります。「いつ」「どの面を」撮ったかをメモしておくと、翌年の比較にも役立ちます。
チェックポイント2: 外壁サイディングの目地
確認すべき箇所
サイディング(外壁材)は、ボードとボードの間に必ずコーキングが入っています。屋根まわりほど目立ちませんが、ここから入った水は外壁の内側を伝って屋根との取り合いに回り込み、室内の天井・壁にシミを作ることがあります。
確認のポイント
目地のコーキングに「ひび」「肉やせ(へこみ)」「黒ずみ」がないか
軽く押してみて、弾力がなくカチカチに硬化していないか(健全なものはわずかに柔らかさが残ります)
同じ面でも、日当たりの強い南面・西面のほうが劣化が早く進みます
サイディングの目地は、新築から10年前後で劣化のサインが出始め、築15年を超える家ではほとんどの場合、何らかの兆候が見られます。長期不在の空き家ほど、この劣化が見えないまま進みやすいのが実情です。
チェックポイント3: 雨樋(あまどい)と落とし口

確認すべき箇所
雨樋は、屋根に降った雨を集めて地面の排水へ流すための設備です。ここが詰まったり外れたりすると、雨水が外壁を直接たたいてしまい、目地のすき間から内部に侵入する原因になります。
確認のポイント
雨樋に落ち葉・苔・泥が溜まっていないか
雨樋自体に外れ・傾き・割れがないか
雨樋の下の地面が雨水でえぐれていないか(=オーバーフローしているサイン)
落とし口(縦樋への入口)に異物が詰まっていないか
雨樋は地上から目視できる箇所が多く、梯子なしでも写真撮影で大半を確認できます。落ち葉や苔の堆積は、樹木のある敷地では1〜2年で起こりますので、空き家管理のなかでも比較的取り組みやすい点検項目です。
「点検だけ」を依頼するという選択肢
「3か所を見てみたけれど、自分では判断がつかない」という場合は、点検だけをご依頼いただくこともできます。
屋根・外壁の目視点検: 1〜3万円程度
ドローン点検サービス: 1〜2万円程度(高所への登り作業が不要)
国民生活センターは、訪問してきた業者にその場で工事を契約しないよう注意喚起しています。修理ありきの見積もりではなく、「現状を客観的に診断してもらう」という発注の仕方であれば、複数社から相見積もりを取って相場感を掴むこともしやすくなります。
サントの現場視点 — 買取後の物件で見つかる雨漏り由来の劣化
私たちサントは、関西エリア(東大阪・八尾・大阪市を中心)で空き家の買取再販を行っており、買取後にリフォームへ入る物件を毎年数多く扱っています。実際に天井や床下を開けてみると、外見上は分かりにくかった雨漏り由来の劣化が見つかることが少なくありません。屋根まわりのコーキング劣化を起点に、屋根下地→天井裏→壁内部とゆっくり広がっていた、というケースです。
そうした現場感覚から、点検で気になる箇所が見つかった際には、次の2つの選択肢を並べてご検討いただくのが現実的だと感じています。
修繕して維持する — 早めに見つかれば数万円〜10万円台で済むことも多い
現況のまま手放す — 修繕見積もりが想定より大きくなった場合の選択肢
サントは買取再販を主軸としており、屋内の残置物・解体・アスベスト調査までグループ会社(サントプラス、サンリムーヴ)で対応できる体制があるため、雨漏りが進んだ現況のままでもご相談いただけます。査定結果は最短即日〜3日でご連絡しており、修繕するか手放すかを比較する材料としてもご活用いただけます。
修繕費は「段階」で大きく変わります
雨漏りは、放置されるほど修繕費の桁が変わっていきます。
段階 | 状態 | 修繕費の目安 |
|---|---|---|
初期 | コーキングのひび割れのみ | 数万円〜10万円 |
中期 | 屋根下地まで湿気が達した状態 | 20〜50万円 |
後期 | 天井・壁内部のカビ・腐食 | 100万円以上 |
構造影響 | 柱・梁まで腐食 | 数百万円〜 |
裏を返せば、梅雨入り前のいまであれば、地上からの目視点検と簡易な業者点検だけで、数万円規模の対策で済む可能性が十分にあります。
まとめ
雨漏りの引き金の多くは、屋根まわりの取り合い部のコーキング劣化です
梅雨入り前に確認したい3か所は、屋根まわりのコーキング・外壁の目地・雨樋です
地上からの目視と写真撮影で大半は判断できます。屋根に登る必要はありません
判断に迷う場合は「点検だけ」のご依頼が選択肢になります
修繕費が想定より大きくなった場合、現況のままお持ちを手放す選択肢もあります
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出典・参考リンク
公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住まいるダイヤル」 https://www.chord.or.jp/
公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報」 https://www.chord.or.jp/tokei/
国民生活センター「土地・住宅・賃貸住宅・住宅修理(よくある相談)」 https://www.kokusen.go.jp/t_box/t_box-faq/e-1.html
国民生活センター「屋根工事の点検商法トラブル」 https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20210311_1.html
国土交通省「住宅瑕疵担保責任保険制度の概要」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000005.html
一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会 https://www.kashihoken.or.jp/
