「そろそろ空き家をどうしようか」と考えはじめて、最初に手元に置きたいのが査定価格です。査定額を見て売る・貸す・残すを判断される方が多いと思いますが、査定価格は依頼する時期によって見え方が変わる ことはあまり知られていません。
不動産取引には、買い手が一気に集まる月と、ほとんど動かない月があります。同じ物件でも、市場が活発な時期に査定を取ると強気の数字が出やすく、動きの少ない時期だと「3ヶ月で売り抜ける前提」の控えめな数字に振れがちです。
本記事では、REINS(不動産流通機構)と国土交通省の公式データから、月別の取引動向と査定タイミングの組み立て方を整理します。
月別の成約件数は、年間で2倍近く差が出る
不動産業界では、月別の成約件数に大きな波があることが知られています。
楽待不動産投資新聞が過去4年分の取引データを検証した結果では、成約件数が最も多いのは毎年3月、続いて2月・9月 となっており、最も少ないのは毎年8月、次いで1月・12月 という傾向がはっきり出ています(参考: 楽待不動産投資新聞)。
この差は、買い手の動機が季節要因に左右されるためです。整理すると次のようになります。
1〜2月: 4月の新生活に向け、中古戸建てやマンションの検索数が急増
2〜3月: 内見した方々の契約・引き渡しが集中するピーク
3月: 法人決算に伴う処分売り・買い替えも加わり、年間最多の成約月に
9〜10月: 秋の異動や下半期スタートで2回目の山が来る
8月・12〜1月: お盆や年末年始の長期休暇で決済件数が落ち込む
REINSの月例マーケットウォッチでも、首都圏中古戸建ての成約件数は2026年2月に1,910件(前年同月比+13.0%)まで伸びた一方、3月は前年比-1.2%とブレーキがかかっています(参考: 東日本レインズ サマリーレポート 2026年3月度)。月単位で見ると、相場は思った以上に動いています。
「査定額」と「成約価格」は、そもそも別物
ここで押さえておきたいのが、査定額と成約価格は意味が違うという点です。
査定額 = おおむね3ヶ月以内に売り抜ける見立て(公益財団法人 不動産流通推進センターの価格査定マニュアルが基準)
成約価格 = 実際に買い手と合意した価格
査定額が高く出ても、その水準で必ず売れるわけではありません。逆に、買い手の多い2〜3月や9〜10月に売り出すと、査定額を上回る成約に至るケースもあります。月別の温度差が、この乖離を生んでいます。
国交省「不動産価格指数」で月単位の温度を測る
マクロの相場感を見るときは、国土交通省の 不動産価格指数 が役立ちます。2010年平均を100とした季節調整済みの指数で、住宅・商業用ともに毎月公表されています。
直近では、戸建住宅の指数は2025年6月118.8 → 7月119.4 → 9月118.6 → 12月121.9と、月単位で1〜2ポイントの変動を繰り返しながら高止まりしています(参考: 国土交通省 不動産価格指数)。1ポイントの差は、たとえば2,000万円の戸建てなら約20万円の振れ幅に相当します。査定を取る月が違えば、これくらいの差は普通に発生するという感覚を持っておくと安心です。
実際の成約価格は「不動産情報ライブラリ」で確認できる
ピンポイントの相場を確かめたい場合は、国交省の「不動産情報ライブラリ」が便利です。約547万件の取引価格情報(平成18年から蓄積)が無料で公開されており、都道府県・市区町村・取引時期・価格帯で絞り込めます(参考: 国土交通省 不動産情報ライブラリ)。査定額が妥当かを、ご自身で検証する材料にしていただけます。
関西エリア(大阪)の月別動向
ご相談の多い近畿圏についても触れておきます。
近畿レインズの市況レポートによれば、2025年の大阪府の中古戸建て成約価格は、第1四半期2,400万円 → 第2四半期2,329万円 → 第3四半期2,384万円 → 12月2,374万円(前年比+4.6%、前月比+4.9%)と推移しました(参考: 近畿レインズ マンスリーレポート ダイジェスト 2025年12月度)。
四半期単位では横ばいに見えても、月単位では年末に5%近い上昇が出るなど、首都圏とは違う独自のリズムがあります。東大阪・八尾・大阪市 のように住宅地としてのニーズが厚いエリアでは、月をまたぐと査定額の根拠となる比較事例も入れ替わるため、「いつ取るか」の影響は無視できません。
査定を取るときに押さえる3つのポイント
1. 1社ではなく、3〜4社から取る
査定額は不動産会社によってばらつきます。1社だけで判断せず、複数社の比較で相場の幅を掴むのが基本です。
2. 動かしたい時期の3〜4ヶ月前に査定を入れる
2〜3月の成約ピークに乗せたいなら、前年の11〜12月には査定を依頼しておく。秋の動きを狙うなら、6〜7月には準備に入る、というスケジュール感です。査定 → 媒介契約 → 売り出し → 内見 → 申込 → 契約 → 決済の流れを逆算すると、3〜4ヶ月の助走期間が必要になります。
3. 査定の根拠を聞く
査定額を出す方法には「取引事例比較法」「収益還元法」などがあります。どの方法で、どの事例を根拠にしたか を聞いておくと、査定額の信頼度を見極められます。比較事例が古かったり、別エリアのものだった場合は、根拠を改めて確認しておきたいところです。
「いま査定だけ取っておく」という選び方
すぐに売る予定がなくても、査定を取っておくことには意味があります。
判断材料が手元にできる: ご親族との話し合いで「だいたいいくらの価値がある物件か」を共有できる
市場の変化を追える: 半年〜1年後にもう一度取れば、相場の動きが見える
サントの現場視点 — タイミングを「待たない」選択肢もあります
ここまでの月別データを見ていただくと、「ベストなタイミングを狙って動きたい」と感じる一方で、相続や遠方からの管理など、ご事情によっては タイミングを待てない ケースも多いはずです。
サントは大阪・東大阪・八尾を中心に、空き家・古家・狭小地・借家人付きの物件を 買取再販 で扱っています。仲介と違って自社で買い取って活用するため、市場の繁忙期・閑散期に左右されず、現況のままでお引き取りすることが可能です。屋内残置物・解体・アスベスト調査までグループ会社(サントプラス、サンリムーヴ)で内製しているので、片付けや更地化のご準備も不要です。
査定結果は最短即日〜3日でご連絡 しており、「2〜3月の動きに間に合うか確認したい」「春を待たずに整理したい」のどちらにも対応できる体制を整えています。市場のタイミングを軸に動くか、ご事情を軸に動くかの選択肢として、買取再販という形があることも頭の片隅に置いていただければと思います。
まとめ
月別の成約件数は、最多の3月と最少の8月で2倍近い差が出る
査定額(3ヶ月の売り見込み)と成約価格は別物。市場のタイミングで乖離が生じる
動かしたい時期の3〜4ヶ月前に査定を取るのが目安
国交省「不動産価格指数」「不動産情報ライブラリ」で月別の相場感を確認できる
タイミングを待てないご事情があれば、現況のままの買取という選択肢もある
査定価格は「物件の絶対値」ではなく、市場の動きを織り込んだ「いまの見立て」です。月別の動きを少し意識するだけで、判断材料の精度がぐっと上がります。
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