「不動産会社さんに『更地にしたほうが売れますよ』と言われたけれど、解体費が思った以上に高くて踏み切れない…」
古家付き土地のままだと、本当に売れないんだろうか…」
「解体すると固定資産税が上がるって聞いたけれど、どのくらい上がるのか分からない…」

ご実家の売却を考えるとき、 「解体してから売るか、古家付きのまま売るか」 は最初に直面する判断の1つです。2026年は 建設工事費デフレーター(国交省) が右肩上がりで、解体費も同様に上昇傾向にあります。一方で、 「解体すると土地の固定資産税が最大6倍になる」 という制度上の構造は、意外と知られていません。

この記事では、 古家付き土地で売る・解体して更地で売る・現況のまま買取に出す の3つの選択肢を、 価格・時間・税金・責任 の4つの判断軸で比較しました。 東大阪市・八尾市 の現場感も交えてご案内します。

2026年の解体費は、想像より高くなっている

国土交通省 建設工事費デフレーターは、建設工事の標準的な費用を指数化した 国の公式統計 です。建物の新築・解体を含む工事費全体の動きを反映しています。

期間木造住宅(指数)動きの目安
2015年100.0(基準)
2025年12月149.210年で約 +49%
2026年5月149.6高止まり

10年前の感覚で「うちの実家の解体は150万円くらいかな」と見積もっていると、2026年の現実とは 1.5倍前後の差 が出てくる構造です。木材・セメント・鉄骨などの建設資材高騰と、 建設業の人手不足による人件費上昇 が背景にあります。

大阪市の木造解体相場(2026年)

解体無料見積ガイド 大阪府大阪市の解体費用相場では、大阪市の木造住宅の解体費は次のように整理されています。

  • 坪単価:約 37,500円
  • 30坪の木造2階建て:約 112万円
  • 全国相場:坪 4万〜6万円 / 30坪で 120〜180万円

実際の解体費は、 道路付け・隣家との距離・残置物の量・外構の有無・アスベスト調査の要否 などで上下します。30坪の木造でも、現場条件次第で 150〜200万円 に達するケースは珍しくありません。

「古家付き土地」で売る場合のメリットとデメリット

「古家付き土地」とは、 築年数が古く、建物としての価値より土地としての価値が大きい物件 を、解体せずそのまま売却することを指します。

メリット

  • 解体費の自己負担がない:解体は買い手側で行うため、売主のキャッシュアウトが発生しない
  • 住宅用地特例が継続適用:売れるまでの間も、土地の固定資産税は 1/6軽減 のまま
  • 意思決定が早い:解体スケジュール調整が不要、決断から売り出しまでが短い
  • 低価格スタートで反応を見やすい:解体費の分だけ価格設定を抑えやすい

デメリット

  • 買い手が限定される:解体を前提とする買い手だけが対象になる
  • 解体費が販売価格に反映される:買い手は解体費を見込んで指値してくる傾向
  • 契約不適合責任の範囲が広くなりやすい:雨漏りシロアリ・配管などの状況に注意
  • 越境物・残置物が論点になりやすい:植栽・物置・残家具などの処理が交渉項目になる

「解体して更地」で売る場合のメリットとデメリット

更地にしてから売却するケースです。土地としての見え方が変わるため、 買い手の幅が広がる 反面、 売主側の負担とリスク も増えます。

メリット

  • 買い手の幅が広い:注文住宅を建てたい層、駐車場・小規模事業用途、不動産会社など
  • 用途のイメージがしやすい:更地の方が間取り・配置のシミュレーションがしやすい
  • 境界・地中障害の確認がしやすい:建物がない分、調査がスムーズ

デメリット

  • 解体費の自己負担(数十万〜200万円超):キャッシュアウトが先行する
  • 住宅用地特例が外れる:翌年1月1日時点で更地だと、 土地の固定資産税が最大6倍
  • 売れるまでの保有コストが膨らむ:固定資産税・草刈り・近隣管理など
  • 解体直後は「特定空家」リスクは消えるが、新たな利活用責任が生まれる

解体すると失う「住宅用地特例」──固定資産税が最大6倍になる構造

ここがいちばんの落とし穴です。地方税法 第349条の3の2 で定められている 住宅用地特例 は、住宅が建っている土地の固定資産税・都市計画税大幅に軽減 する制度です。

特例の中身

区分面積固定資産税都市計画税
小規模住宅用地200㎡以下 の部分1/61/3
一般住宅用地200㎡を超える 部分1/32/3

つまり、 住宅が建っているだけで、土地の固定資産税は最大1/6まで下がる 設計です。解体して更地になると、この特例が外れ、 本来の評価額に基づく税額(最大6倍前後) に戻ります。

「いつ更地だったか」で翌年度の税額が決まる

固定資産税は 毎年1月1日時点の状況 で課税されます。たとえば 2026年12月に解体 すれば、 2027年1月1日時点 で更地のため、2027年度から税負担が一気に上がります。逆に、 2027年1月以降に解体 すれば2027年度はまだ住宅用地特例が継続適用されます。

「いつ解体するか」のタイミング1つで、年単位の税負担が大きく変わる点は、 売却スケジュールと併せて ご検討ください。

「現況のまま買取」という第3の選択肢

仲介で売る代わりに、 不動産会社が直接買い取る「買取」 という選び方もあります。買取の中でも 「現況のまま」 引き取るタイプは、 解体・残置物撤去・リフォームをすべて買主側で行う 設計です。

現況買取のメリット

  • 解体費・残置物撤去費の自己負担なし:キャッシュアウトが発生しない
  • 意思決定から決済までが早い(数週間〜数か月程度の事例が多い)
  • 契約不適合責任の範囲を限定しやすい(契約内容で個別合意)
  • 近隣に売却活動が露出しにくい:周囲に知られず静かに売却したい場合に有効

現況買取のデメリット

  • 仲介より売却価格が低くなる傾向:解体・リフォーム原価が買主側で発生するため
  • 買い手は限られる:買取再販事業者・解体業者・不動産投資家など

「いくらでも高く売りたい」場合は仲介の選択肢が前提になりますが、 「時間と手間と税金を最小化したい」 ご家族には、現況買取は十分に検討の余地がある選び方です。

4つの判断軸で並べてみる

3つの選択肢を、 価格・時間・税金・責任 の4軸で並べると次のようになります。

古家付き土地解体して更地現況のまま買取
価格低〜中中〜高(解体費の負担あり)低〜中
時間中(売れるまで時間がかかる)中〜長(解体+販売期間)(数週間〜)
税金住宅用地特例継続解体翌年度から特例解除住宅用地特例継続(売却までの間)
売主側の責任建物の契約不適合責任あり建物の責任なし(土地のみ)契約条件で限定可能

「正解は1つではない」というのが現場の答えです。 築年数・立地・建物の状態・売主側の資金余裕・売却までに使える時間 によって、4軸の重みが変わります。

東大阪市・八尾市の現場から見えた傾向

弊社 株式会社サント は、 東大阪市・八尾市を中心に大阪府内全域 で、空き家の売却・買取・解体を一貫して対応してきました。現場の感覚として整理できる傾向をご紹介します。

東大阪市の戸建てエリア

東大阪市の戸建てエリアは、 築40〜50年の昭和築木造 が多く、 狭小地旗竿地・路地奥 も少なくありません。このタイプは、 更地にしてもすぐに買い手がつくとは限らない ため、 「古家付き土地」または「現況のまま買取」 のほうが、結果としてご家族の負担が軽くなるケースが多くあります。

八尾市の住宅地

八尾市の住宅地は、 大和川水系のハザード区分 や、 近鉄沿線の駅徒歩圏 などエリアで条件差が大きいエリアです。 駅近の比較的整形地 なら更地化が活きやすく、 古い住宅地・狭小地 なら古家付き・現況買取のほうが現実的という見立てになりやすい印象です。

共通する論点:「再建築の可否」

東大阪・八尾を含む大阪府東部では、 再建築不可 の物件が一定割合あります。 道路付けが2m未満 の通路で接道している場合は、解体しても新築できないため、 更地にしてしまうと買い手が極端に少なくなる 構造です。 解体前に「再建築可能か」を必ずご確認 ください。

サントが現場で見てきた、解体せずに売却する選択肢

「解体すべきか、しないべきか」で悩まれているご家族から、サントでは次のようなご相談をお受けしてきました。

  • 自社施工の解体チーム:他社見積もりを取った後にお声がけいただくと、 解体費の中間マージンが圧縮 できるケースがあります
  • 現況のまま買取:残置物・カビ・雨漏りがあっても、 そのまま引き取り をご相談いただけます
  • 借家人付き買取:既に賃借人がいらっしゃる物件も、 借家人付きのまま 買取が可能なケースがあります
  • 狭小地・底地・再建築不可:仲介市場では値段がつきにくい物件も、 再販ルート がある業者なら検討できることがあります
  • リーガルパートナーとの連携:相続登記・税務相談・境界確定など、 窓口を一本化 した進行をサポート

「とりあえず解体見積もりを取ってからご相談したい」というご家族も多いのですが、 解体する前に1度ご相談いただく ことで、 解体せずに売却できる選択肢 が見えてくることがあります。

7月のうちにできる、3つの準備

夏休み・お盆の前に、ご家族で並べておきたい3つの準備を整理しました。

準備①|固定資産税の納税通知書を1度取り出す

毎年4〜5月に届く 固定資産税の納税通知書 には、 土地の評価額・住宅用地特例の適用状況 が記載されています。これがあると、解体した場合の 翌年度の税負担シミュレーション が現実的にできます。先週公開した 固定資産税の納付通知書が届いた今、空き家所有者が確認すべき5つのこと もあわせてご参照ください。

準備②|「再建築可能か」を1度確認する

ご実家の 接道状況(接道幅・接道長さ)建築基準法上の道路の種類 を、自治体の建築指導課か不動産会社にご確認ください。 再建築不可 の場合、解体は慎重に判断する必要があります。

準備③|解体見積もりと、現況買取査定を並べて取る

解体専門業者の見積もり1社だけ、もしくは仲介1社の査定だけで判断するのは情報が偏りやすいです。 解体見積もり1〜2社+現況買取査定1〜2社 を並べてみると、 「3つの選択肢の本当の差額」 が初めて見えてきます。

FAQ

Q1. 解体してから売ると、必ず固定資産税は6倍になりますか?

「最大6倍」が正確です。 住宅用地特例(1/6)が外れる ため、評価額に基づく税額そのものに戻ります。ただし、 建物の固定資産税(評価額1.4%)が消える 分は減ります。差し引きの実額負担はご実家ごとに異なりますので、 納税通知書ベースのシミュレーション をおすすめします。

Q2. 「古家付き土地」のままだと、本当に売れにくいですか?

ケースバイケースです。 築年数・立地・建物状態・地域の買い手の層 によって変わります。 解体を前提とする買い手(建売事業者・買取再販業者など) に届けば、古家付きでも動きます。 仲介だけでなく、買取ルートも並行 して検討するのが現実的です。

Q3. 解体する場合、補助金は使えますか?

自治体によります。 「特定空家」「管理不全空家 に該当する場合や、 耐震性が著しく低い 場合などに補助金がある自治体が多いです。大阪府内の補助メニューは別記事 実家の解体費、半分以下になることも…?|東大阪・八尾・大阪市で使える空き家補助 2026年度まとめ でも整理しています。

Q4. アスベスト調査はいつ必要ですか?

2022年4月以降、 一定規模以上の解体・改修工事アスベスト含有建材の事前調査が義務化されています。木造の小規模戸建てでも、 外壁・屋根・配管などの建材 によっては調査対象です。 解体見積もりに事前調査費が含まれているか をご確認ください。

Q5. 解体後、すぐに売れないと固定資産税の負担が続きます。どうしたら?

3つの対策があります。 ①更地ではなく駐車場・資材置場として一時利用する (用途次第で課税区分は変わります)、 ②解体タイミングを売却の目処と合わせる (1月1日時点を意識)、 ③そもそも解体せずに現況買取を選ぶ「解体する/しない」を分けて判断 しないことが大切です。

まとめ|「解体するか・しないか」を一気に決めない

「実家を売るなら更地にしたほうが高く売れる」という業界の通説は、 2026年の建設費高騰下では必ずしも成立しません 。古家付き土地・解体して更地・現況のまま買取の3つを、 価格・時間・税金・責任 の4軸で比較してから売却方針を決めることで、 結果としてご家族の手元に残る金額が大きく変わってきます

  • 建設工事費デフレーターは10年で約50%上昇 、解体費は今が高止まり
  • 解体すると住宅用地特例が外れ、土地の固定資産税が最大6倍
  • 解体せずに売却する選択肢 (古家付き売却・現況買取)を必ず並べる
  • 解体・査定の見積もりは複数取り、3つの選択肢を並べて判断

「解体する前に1度ご相談いただく」だけで、選択肢の幅は確実に広がります。

東大阪・八尾を中心に、大阪府内の空き家相談はサントへ

「解体すべきか、古家付きで売るべきか」のような 段階 から、 「もう売却に踏み切りたい」 の段階まで、サントでは無料でご相談を承っています。 東大阪市・八尾市・大阪市・寝屋川市 など、大阪府内全域に対応しています。

出典・参考リンク