通水(つうすい)とは、蛇口を開けて給排水管に水を通すこと。空き家管理の基本作業のひとつです。月1回・5分の通水を続けるかどうかで、次の3つのトラブルの発生率が大きく変わります。

  • 排水口から上がってくる下水のニオイ
  • 蛇口から出る赤茶色の水(さび水)
  • 水道メーターや給湯器の動作不良

いずれも放置期間が長くなるほど修理・交換の費用がふくらむ不具合です。ここでは通水が必要な理由、実際の手順、水道料金の目安、遠方で対応できないときの方法を、実務の観点で説明します。

通水とは|空き家で必要な3つの理由

空き家で通水が必要になる理由は、大きく3つあります。

理由①|排水トラップの水が蒸発してしまうから

キッチン・洗面台・浴室・トイレの排水口の下には、S字型の管(排水トラップが必ずついています。この曲がった部分に水が溜まっていることで、下水管から上がってくるニオイ・害虫・下水ガスを物理的にせき止めているのです。

ところが、水を使わない状態が2〜3週間続くと、トラップの水が少しずつ蒸発していきます。蒸発しきってしまうと、下水管と室内がつながった状態になり、次のような現象が起きます。

  • 玄関を開けた瞬間に下水の臭いがする
  • チョウバエ・小さなハエが室内を飛んでいる
  • 湿気とニオイが壁紙・畳・押し入れに染み込む

一度染み込んだニオイは、掃除や換気だけでは取り切れないことがあります。通水は、このトラップの水を毎月補充する作業でもあるのです。

理由②|金属製の給水管がさびてくるから

築年が古い実家では、給水管が鉄・銅・鉛などの金属で作られていることがあります。金属管の中で水が流れない時間が長くなると、管の内側が酸化してさびが進行し、次に水を流したときに赤茶色の水(赤水)が出てくるようになります。

赤水は飲用に使えないだけでなく、洗濯機に流すと衣類にシミが残る・給湯器の熱交換器を傷めるなど、周辺機器に影響します。月1回の通水は、この「配管の中の水を入れ替える」意味も持っています。

理由③|水道メーターや給湯器が固まってしまうから

長期間停止していた機械部品は、久しぶりに使ったときに不具合が出やすいものです。水道メーターの検針羽根、給湯器のバルブ、洗濯機の給水ホースなど、可動する部品は月1回の通水で「稼働させ続けている状態」にしておかれると、寿命が延びる傾向があります。

通水の実際の手順|3ステップ・所要時間15分

通水は、特別な道具も知識も必要ありません。手順は3ステップです。

ステップ①|元栓と止水栓を確認する(1分)

まず、水道メーター横の元栓が開いているかを確認します。次に、キッチン・洗面・浴室・トイレの各止水栓(三角ハンドル)が開いていることを確認します。

ステップ②|各蛇口を5分ずつ開ける(12分)

次の順で、各蛇口を5分程度開けて水を流します。

  • キッチン(お湯側・水側の両方)
  • 洗面台(お湯側・水側)
  • 浴室のシャワー・カラン
  • トイレ(ロータンクに水を溜めて流す × 2回)
  • 洗濯機置場(ホースを外して直接流す)

お湯側も流すことで、給湯器の内部にも水が循環し、凍結防止・熱交換器の保護にもつながります。

ステップ③|排水口を目視で確認する(2分)

水を流したあと、排水口から水がスムーズに引いていくか、下水のニオイが上がってこないかを確認します。ニオイが残る場合は、排水口用の消臭剤を投入しておくと安心です。

気になる水道料金|通水にかかる費用の目安

「月1回・15分も水を流したら、水道料金が高くなるのでは?」というご心配は、よくいただくご質問です。

試算してみましょう。一般的な蛇口の吐水量は1分あたり約12リットル。5箇所を5分ずつで、合計約300リットルです(トイレ2回分を含めて約320リットル)。

大阪市の水道料金の目安では、1リットルあたり約0.3円。1回の通水で約100円前後、月1回なら年間で約1,200円です。年間で下水のニオイ・赤水・配管修理を予防できると考えれば、費用対効果は高い作業と言えます。

通水しないで放置するとどうなるか|起きうるトラブルとコスト

通水を数か月〜1年以上放置した空き家では、次のようなご相談を伺うことがあります。

  • 下水のニオイが室内全体に染み込み、消臭・張替えに数十万円かかった
  • 配管のさびが進み、部分交換で20万円〜、全体交換で100万円超になった
  • 水道メーターが停止して検針不能になり、業者交換で数万円かかった
  • チョウバエが大量発生し、清掃業者を呼ぶ必要があった

いずれも「月1回・数分の通水」で相当程度予防できる不具合です。空き家管理の作業のなかでは、通水は最も費用対効果の高い予防策のひとつです。

遠方で通水できないときの3つの方法

実家が遠方にあって毎月の通水が難しい方も少なくありません。その場合の方法は、大きく3つです。

方法①|シルバー人材センターに依頼する

各自治体のシルバー人材センターでは、空き家の見回り・通水を月1回・数千円で請け負ってくれるところがあります。地元の連絡先・料金は、市町村の窓口や公式サイトで確認されると安心です。

方法②|民間の空き家管理サービスを利用する

不動産会社・警備会社系の空き家管理サービスでは、月1回・5,000円〜1万円程度で、通水・郵便物確認・簡易点検をパッケージにしたプランがあります。写真報告書付きが標準です。

方法③|そもそも「持ち続ける前提」を見直す

月々の管理費用と手間を長期で見たとき、「そもそも所有し続けるべきか」を検討される方もいらっしゃいます。特に築年が古く、賃貸に出す予定もない実家の場合、売却・買取で完全に手放したほうが、通算の費用も心の負担も軽くなる場合が多く見られます。

買取業者の中には、家財を残したまま・室内が汚れたままでも査定に応じるところがあります。維持コストが気になり始めたタイミングは、査定を1度取ってみる目安のタイミングかもしれません。

よくあるご質問|FAQ

Q1|冬場は水道を止めた方がいいですか?

寒冷地では凍結防止のため元栓を閉じる方が安全ですが、その場合は不凍液を排水トラップに入れるなど、別の対策が必要です。関西圏(東大阪・八尾・大阪市)では、凍結の心配は比較的少なく、通常の通水で対応できます。

Q2|長期間放置していた実家、初めての通水で気をつけることは?

いきなり全開にせず、細く・弱くから始めるのが安全です。赤水が出たら数分流し続けて、透明な水に戻るまで待ちます。強く出したときに配管の継ぎ目から水漏れが起きる場合もあるため、初回は誰かが立ち会える状態で行われるのが安心です。

Q3|水道の閉栓(休止)と通水、どちらが得ですか?

閉栓すると基本料金がかからないメリットがありますが、通水ができなくなり、上記の3トラブルが起きやすくなります。月1回程度でも通う予定があるなら通水前提で契約を残し、まったく通えないなら閉栓+管理サービス委託の組み合わせが現実的です。

Q4|赤水が出た場合、そのまま流し続けていいですか?

透明になるまで(通常5〜15分程度)流し続ければ問題ありません。ただし、毎回赤水が出る状態が続く場合は、配管の劣化が進行している可能性があります。水道業者による点検を検討されると安心です。

Q5|通水だけでは足りない、追加でしておくといい空き家管理は?

通水と併せて、換気(月1回・1〜2時間)と屋根・雨どいの点検(年1回)が空き家管理の3点セットです。この3つを月1回セットで行うと、多くの不具合を未然に防げます。

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