2023年12月、改正された空家等対策特別措置法によって新設された区分が「管理不全空家」です。従来の「特定空家」の前段階として位置付けられ、指定されると行政指導の対象になり、放置を続ければ住宅用地特例が外れて固定資産税が最大6倍に上がる可能性があります。
「うちはまだ大丈夫」と思っていても、5月の固定資産税通知書を機に自治体が点検を強化するケースもあり、決して他人事ではありません。本記事では、管理不全空家の指定基準と、梅雨入り前の6月までに所有者ができる5つの予防策を整理します。
管理不全空家とは
法律上の定義は「適切な管理が行われていないことにより、そのまま放置すれば特定空家になるおそれのある状態の空家」です。
「特定空家」との違い
区分 | 状態 | 行政の対応 |
|---|---|---|
特定空家 | 倒壊・衛生・景観・治安に著しい影響 | |
管理不全空家 | 上記に至るおそれがある | 助言→指導→勧告(住宅用地特例解除あり) |
最大の違いは、特定空家が「すでに著しい問題を起こしている」のに対し、管理不全空家は「このままでは特定空家になる」という予防的な段階である点です。
指定されるとどうなるか
第1段階(助言・指導): 自治体から「修繕してください」「庭の手入れをしてください」といった指導が届く
第2段階(勧告): 改善されない場合、勧告が出される。この時点で住宅用地特例が解除され、固定資産税が最大6倍に
第3段階(特定空家への移行): さらに状況が悪化すれば、特定空家として行政代執行の対象に
つまり、勧告を受けた段階で経済的なペナルティが発生します。
自治体が見る5つのチェックポイント
国土交通省のガイドラインに基づき、自治体は以下を点検します。
1. 建物の傾き・破損
屋根材の脱落、雨樋の破損、外壁の亀裂
建物の傾き(目視で明らかにわかる程度)
窓ガラスの破損、ドアの脱落
2. 衛生面の悪化
ゴミの放置(室内外問わず)
害獣・害虫の発生
悪臭の発生
3. 景観の損失
雑草の繁茂(腰の高さを超えるなど)
落書き・破損・汚損
庭木の越境(隣家・道路への侵入)
4. 治安への影響
不法侵入された形跡
不審者の出入り
火災発生の危険性(燃えやすい物の堆積など)
5. 周辺への影響
隣家からの苦情の有無
地域住民への聞き取り
6月までにできる5つの予防策
梅雨入り前の今月中に、所有者ができる対策をまとめました。
対策1: 庭木・雑草の整備
最も指摘されやすいのが雑草と庭木の越境です。隣家から苦情が入ると、自治体が動き出すきっかけになります。
雑草: 高さ30cm以下を目安に刈り取り
樹木: 隣地・道路への越境枝を剪定
できれば年2〜3回(春・夏・秋)の頻度で
業者に依頼する場合、敷地30坪程度で2〜5万円が相場です。
対策2: 外周の点検と簡易修繕
屋根材のずれ・破損(地上から目視)
雨樋の詰まり・破損
外壁・基礎の亀裂
雨樋の落ち葉除去は自分でも可能です。屋根の修繕は専門業者へ(梅雨入り前の今が業者の繁忙期前で対応してもらいやすい)。
対策3: 室内の通風・通水
月1回程度の通風と、給排水管の通水(蛇口を開けて水を流す)を行うと、カビの発生と排水トラップの干上がりを防げます。
遠方の方は「遠隔見回りサービス」を利用するのも一案。月5,000〜15,000円程度で、写真付き報告を受けられるサービスがあります。
対策4: 郵便物・チラシの整理
ポストに郵便物が溢れている状態は、空き家であることを外から明示してしまいます。
郵便局に「転送届」を出す(1年有効、無料)
ポストに「チラシお断り」のシールを貼る
月1回でも回収できる体制を作る
対策5: 火災保険の見直し
長期空き家になると、通常の火災保険では補償されないケースがあります。「空き家用火災保険」への切り替えを検討してください。
一般的な火災保険: 居住者がいる前提
空き家用火災保険: 無人を前提として補償
保険料は通常より割高(年2〜5万円程度上乗せ)ですが、放火・類焼への備えとして検討の価値があります。
自治体に動かれる前に
管理不全空家への指定は、ある日突然来ます。多くの場合、近隣住民の方からの通報がきっかけであったりします。
「自分は気にしていなくても、隣家にとっては毎日の景色」だということを忘れずに。年1〜2回でも整備をすることで、ご近所にご迷惑をかけないことが、自治体への通報を未然に防ぐことにつながるのです。
まとめ
「管理不全空家」は2023年新設、勧告で固定資産税が最大6倍に
自治体は建物・衛生・景観・治安・周辺影響の5観点で判断
梅雨入り前の6月までにできる対策は5つ(庭整備・外周点検・通風・郵便整理・保険)
きっかけは多くが近隣からの通報。ご近所への配慮が予防の第一歩
指定リスクが気になる物件をお持ちで、売却や解体・更地化を視野に入れている方は、株式会社サントへご相談ください。売却査定・解体のお見積もりにあたって現地調査を実施しています。指定されてから動くより、指定される前に整えるほうが、結果的にコストを抑えられるケースがほとんどです。
