空き家をお持ちの方が、保有を続けるか・売却に進めるか・別の活用に切り替えるかをご判断される際、目の前の物件状況だけでなく、住宅市場全体がどちらに動いているかを知っておくと、選択肢の見え方がわかりやすくなります。国土交通省が毎月公表している建築着工統計は、その「全体の流れ」をつかむうえで最もシンプルで信頼できる指標です。

本記事では、直近の住宅着工統計から 押さえるべき3つの数字 に絞って、中古戸建てを持っていらっしゃる方の所有判断にどうつなげればよいかをマクロ視点で整理します。新築の動きが、中古戸建ての見え方をどう変えるかという視点で読んでみてください。

① 74万667戸 — 2025年の新設住宅着工、62年ぶりの低水準

国土交通省の建築着工統計調査報告によると、2025年(令和7年)の新設住宅着工戸数は 74万667戸、前年比6.5%減で3年連続の減少となりました。年間ベースで74万戸台となるのは 1963年以来62年ぶり で、住宅市場全体が長期的な縮小局面に入っていることを示す数字です。

利用関係別の内訳は次のとおり。

区分

戸数

前年比

持家

201,285戸

7.7%減(4年連続減)

貸家

324,991戸

5.0%減(3年連続減)

分譲住宅(マンション)

89,888戸

12.2%減(3年連続減)

分譲住宅(一戸建)

115,935戸

4.3%減(3年連続減)

建築資材価格と人件費の上昇に加え、世帯数の伸びが頭打ちになっていることが背景にあります。住宅取得層のご年齢が上がり、可処分所得に対する住宅価格の負担感が増していることも、持家の減少に表れていますね。

物件をお持ちの方にとっての示唆

新築の供給が細るほど、中古戸建ては「同じ予算で買える選択肢」として相対的な存在感が増します。実際、住宅金融支援機構の2024年度フラット35利用者調査では、 中古住宅の利用割合が34.8% となり直近10年で最高を更新しました。中古戸建てに限っても20.5%と前年度から5.2ポイント増えています。

ただし、買い手側の人口も減っているため「新築が減れば中古が必ず売れる」とは単純化できません。立地・価格・建物状態の3点を整理し、お持ちの物件が「新築を諦めた方の代替候補」として成立するかを冷静に見極めることが、所有判断の出発点になります。

② 77.7万戸 — 2026年度予測、微増転換だが歴史的低水準

一般財団法人建設経済研究所(RICE)の建設投資見通しでは、2026年度の新設住宅着工戸数は 前年度比5.5%増の77.7万戸 と予測されています。3年連続の減少から、ようやく微増転換が見込まれる局面です。

ただし注意したいのは、 77.7万戸という水準そのものが歴史的に低い ということです。2000年代前半は年120万戸前後、リーマンショック後の2010年でも80万戸台を維持していました。「前年比プラス」という見出しが出ても、市場規模が大きく回復するわけではありません。

物件をお持ちの方にとっての示唆

微増のなかでも貸家が回復の中心になる見込みのため、戸建ての世界では引き続き「新築の供給が薄い」状態が続きます。これは中古戸建てにとって、買い手の選択肢のなかでの位置が下がりにくい局面ということです。

一方で、新築が増えるエリアは限られており、駅近・好立地に集中する傾向があります。お持ちの物件が郊外や駅から距離のあるエリアの場合、新築供給の動きとは独立した判断軸(建物の管理状態、解体・更地化のタイミング、隣地との関係など)で動かれた方が結果的にスムーズです。

統計の数字は半年に1度ほど目を通せば十分で、毎月追う必要はありません。

③ 11万5,935戸 — 分譲一戸建が示す「比較対象」の縮小

3つ目の数字は、 分譲一戸建の新設着工11万5,935戸(前年比4.3%減) です。これは中古戸建てを売却される際に、買い手の方が最も比較されやすい「同価格帯の新築一戸建」の供給量を示しています。

分譲一戸建は2020年代に入り3年連続で減少し、建売市場の縮小が続いています。建材価格と人件費の上昇により、新築分譲の販売価格はこの数年で大きく上がっており、首都圏・近畿圏ともに「予算内で買える新築建売」が見つかりにくい状況です。

物件をお持ちの方にとっての示唆

新築建売が買いにくくなっているということは、「築20〜30年でも立地が良く、設備更新で住める状態の中古戸建て」が、買い手の方の現実的な選択肢に入りやすくなっているということです。フラット35利用者調査でも、中古戸建ての平均築年数は 23.3年 と上昇しており、買い手側で「築古でも検討する」前提が広がっています。

お持ちの物件の周辺で新築分譲一戸建がいくらで販売されているかを把握しておくと、「買い手の側からどう見えるか」がわかります。新築価格の7〜8割程度に収まる中古戸建ては、需要層と接点を持ちやすい価格帯です。

サントの現場視点 — 関西の中古戸建てで起きていること

弊社サントは東大阪・八尾・大阪市を中心に中古戸建ての買取再販を行っており、関西エリアの現場感覚として、ここ1〜2年で次のような変化を感じています。

このような物件でも、サントは自社で解体事業部がありますし、グループ会社のサントプラスで遺品整理、サンリムーヴでアスベスト調査・除去まで自社対応するため、 現況のまま で買取のご相談を承れます。査定結果は最短即日〜3日でご連絡しています。

マクロ統計が示す「中古戸建ての価値見直し局面」のなかでも、一般市場で動きにくい物件こそ、買取再販の枠組みが向きやすい場面が増えていると感じています。

相続で引き継いだ実家を、片付ける手間なくご相談したい」「狭小地で他社で敬遠された」といったご相談も多くいただいています。

まとめ

マクロ統計が示すのは、 新築が買いにくくなる時代に、中古戸建ての位置づけが静かに見直されている ということです。空き家の今後の扱い(保有・売却・活用のいずれか、そのタイミング)をご判断される際は、お持ちの物件の状態と、市場全体の流れの両方を踏まえると、選択肢の精度が上がります。半年に1度、国交省の統計を眺めるだけでも十分参考になります。

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